Posterous theme by Cory Watilo

バレンツ海を一周

Img_0612

ようやく暗い海を抜け、太陽の光がさす緯度まで戻ってきました。いわばバレンツ海を小さく一周した形になります。

ノルウェーの船員さんたちはこれから沿岸域の最後の観測を行い、その後船はトロムソにむけての帰路につきます。

停泊中に、数日ぶりの日の光がうれしくて写真を撮っていたら、あっという間に雪雲に追いつかれ、あたりは一面吹雪の海に変わりました。まだまだここは気象の変化が激しい、バレンツ海なのだと思い知らされます。

(本航海の詳細は JAMSTEC 北極航海ブログ、http://www.jamstec.go.jp/rigc/nhcp/mirai2010/
でもアップデートしています!)

海から湧き出す「湯気」

Sea

今回の航海の最北端、北緯 76 度 30 分、東経 31 度 13
分に到達しました。昼の2時とはいえ、太陽の光はまったくなく、暗黒の水平線に対してほのかに曇り空を見分けることができる程度です。

甲板に出てみると、海からはもうもうと白い「湯気」があがっています。水温が 0 度くらいなのに対して、気温が -15
度もあるため、より温かい海から大気にむかって熱が放出されている証拠です。

バレンツ海は、冬であっても海氷におおわれない稀有の海です。また、ほんの少し北にはがっちりと海氷に覆われた海が、南にはユーラシア大陸があり、氷・海・陸が近接して存在するという意味でも珍しい海です。この猫の額のように狭い海には、気象学、気候学、そして海洋学的にも面白いテーマが詰まっているのです。

これから船は東経 31 度 13 分の線をまっすぐ南下します。私もそろそろ、光のさす世界が恋しくなってきた頃です。

クマの島に到達

Img_0596

Bear Island、ノルウェー語でビョルンオイヤ、どういうわけか日本語ではビュルネイ島と呼ばれる島は、バレンツ海のまっただなかにある小島です。こんなところでも、9名ほどの方が常駐して、毎日の気象観測などの業務をしているそうです。

私たちがこの島に到着したのはお昼前で、運良く太陽の光が若干あったので肉眼で島を見ることができました。税関の手続き上、この場所に数時間の停泊を行い、次の目的地、北緯
76 度を目指します。

船内のシャワー

Img_0882

船だとお風呂やトイレは共同という場合も多いのですが、今回乗船している Johan Hjort 号は個室ごとにユニットバスがついているのが豪華です。

写真ではよくわかりませんが、このシャワーは洗面所の部分と段差も仕切りもなく、シャワーを浴びると水がそのままトイレと洗面台のところまで流れだしてしまいます。

それでは不便だろうとと思っていたら、大半の水は少しだけついている傾斜にそって流しに吸い込まれるとともに、船が揺れることで洗面所にあるもうひとつの流しに向かうので、シャワールームが水没ということはありませんでした。

しかも床暖房があるので、そのスイッチを入れておけば小一時間で部屋は乾いてしまいます。

このバスの床暖房、湿気やカビに悩まされる日本のお風呂にもちょっとだけほしい気がしました。

バレンツ海に到着

Img_0590

夜のうちにフィヨルドを抜けると、一転して波が荒々しくなりました。ここが今回の観測の目的地、バレンツ海です。

現在グリーンランドの南で発生した低気圧が接近中のため、風はときおり 20m/s
を越え、白波がたって恐ろしいほどです。日の光はさらに弱くなり、昼をはさんだ数時間に薄明が広がるばかりです。

このバレンツ海で起こる大気と海洋の現象が、あるいは日本へ影響をおよぼすかもしれないということが、今私たちの注目しているテーマです。それについてはまた後日、ゆっくりとご紹介したいと思います。

風と揺れが強いため、ゾンデの放球といった観測には危険が伴います。安全帯をつけたり、さまざまな工夫をこらしてリスクを減らすことが重要になってきました。これまで以上に安全に気をつかう、緊張した観測が続きます。

飾り毛布?

Img_0888

先だっての船室紹介の写真で、タオルが可愛らしくたたんであるのに気づかれた人もいるかもしれません。先日シーツを替えてもらった日に船室にもどると、バスタオルとハンドタオルが寝床を作っているように織り込んで置かれていました。ちゃんと白いタオルがピンクのタオルの中に織り込まれていて、まるで小人の寝床のようでした。

昔、青函連絡船の客室などで提供されていたサービスの一つに、飾り毛布とか、花毛布と呼ばれる、毛布を花や灯台の形に折る技法がありました。以前 JAMSTEC の 公開セミナーで実演が行われたり、当機構の「かいよう」で
NHK おはよう日本の番組の一部として収録が行われたことがあるそうです(実演しているのは、日本海洋事業株式会社の社員さんだそうです)。

ともすれば殺風景な船の客室に夕食を食堂でとって戻ってみるとこんな素敵なサービスがしてあれば気分も上々という、古き良き時代の名残ですね。今はその技法の多くが失われつつあるのだそうです。

この「花タオル」(ベッドタオル?)はちょっとインパクトに欠けるのですが、シーツを替えてくださった船員の心遣いを感じます。

私の船室紹介

Room

先日シーツの交換をしてもらいましたので、ちょっとすっきりとした船室をご紹介します。

部屋の居住空間の大きさは四畳半といったところで、その半分をベッドが占めています。写真では上の方に切れていますが、このベッドの上には実は壁に折りたたまれた2番目のベッドがあって、この部屋を二人で共有することもできます。

ベッドの横にはソファとテーブルと椅子、そして写真には写っていませんが、手前にはクローゼットがあります。ひとりで過ごすには、ちょっと狭いですが十分な大きさです。

部屋は船の下から2番目の階にあって、小さな丸窓は波が高いと時折水面下に没してしまいます。

つまりこの壁一つ隔てた向こうは暗くて冷たい海なのですが、そのへんは怖いのでなるべく考えないようにしています。

トロムソ入港

Img_0554

ノルウェー現地時間の20日の朝に、予定通りトロムソに入港しました。トロムソは入り組んだフィヨルドのなかにある小島に生まれた小さな街ですが、久しぶりに人間の住んでいる陸地に近づいた私たちには街の灯りがとてもはなやかにみえます。

これから夕方まで燃料の補給や、荷物の入れ替えなどを行い、旅の後半、バレンツ海にむけて出港します。

運がよければ、お昼ごはんは久しぶりに地上に降りて街で食べられるかもしれません。

月明かりの海

Img_0543

船は前半の観測を終え、11ノットと足早に一路トロムソにむけて進んでいます。明日の朝にはフィヨルドについて、数時間の寄港を行う予定です。私たちにとっては、一週間ぶりに船が揺れない、落ち着いた海になるのでほっと一息をつけそうです。

本日の 0 時の観測では、月明かりが海を照らして波が銀色に輝くその向こうに街の灯りがいくつか見えて、目を楽しませてくれました。

トロムソを出発したら、いよいよ旅の目的地、バレンツ海です。

ノルウェーの船員さんたちの仕事

(download)

今回の観測はノルウェー海洋研究所の定期航海に便乗させていただいて実施しています。ではノルウェーの船員たちはなにをしているかというと、決められた海の線上でプランクトンを収集したり、CTD といわれるプローブを海に沈めて海の温度と電気伝導度を調べたりしています。

ノルウェーは日本同様に海洋資源の豊かな国ですので、こうした地道な調査が重要視されているのですね。

日本で皆さんが口にされる生サーモンは、ノルウェーからチャーター便で届くものがほとんどだと聞きます。ノルウェー海洋研究所は、そうした養殖業のための基礎データ収集も行っている組織です。

こうした地道な調査が、遠く離れた日本の食卓の安全までつながっているわけです。